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インタビュー Column

所長インタビュー
Column

株式会社メディアプラットフォームラボ
取締役 所長 兼 技術戦略部長 香取 啓志

----------メディアプラットフォームラボが設立されてから3年目を迎え、この4月でひとつのターニングポイントを迎えるとお聞きしてますが、この3年の歩みと、これから何をしようとしているのかについてお話を伺いたいです。

 3年というのは、私たちが最初の節目と位置付けています。
 その前に、「メディアプラットフォームラボ」という名前ですが、1985年にMITに「メディアラボ」が誕生しました。私はこの研究所の立ち上げに参加しました。このときのコンセプトは、コンピューター、通信、そしてメディアの融合(コンバージェンス)でした。今回新たな組織を立ち上げるにあたり、次世代のメディアを研究する場所として「メディアラボ」の”間”に「プラットフォーム」という言葉に新会社の思いを込めています。
 社名に使っている「メディア」という言葉は、世間一般で言う曖昧な「媒体」という言葉ではなくて、テレビ、ラジオ、新聞などのマスメディアを指しています。プラットフォームはテレビ、ラジオでは電波ですが今回はコネクティッドな環境を提供しているもの(電波、光ファイバー、メタル)すべてのインフラを含んでいます。
 テレビ、ラジオは電波を利用して送信所からリアルタイムで同時に多くの視聴者に情報を伝達しています。しかし情報は一方通行です。視聴者から同時に返答することが出来ません。これと正反対の仕組みが電話に代表される「通信」です。
 インターネットが普及し、光インフラのように高速なデジタル回線が家庭にまで普及してきた今では一方通行であったマスメディアが放送(ブロードキャスト)から、新しいプラットフォームを利用した新たなサービス、例えば「双方向」が実現できます。 我々、メディアプラットフォームラボの3年間はまずはこのインフラの構築でした。これは『radiko.jp』のインフラを構築することで最初のステップを踏み出すことが出来ました。
 次のステップはこのインフラを使ったビジネスモデルの構築です。

----------インターネットの強みは「双方向」にあると思いますが、メディアとネットの関係では必ずしもそうではないと?

 インターネットはそもそも通信とコンピュータ―の融合です。通信でつながれた仮想空間に大量の情報が蓄積され、これをブラウザーで検索する仕組みと、電子メールに代表されるコミュニケーションツールで構成されています。
 マスメディアと呼ばれるテレビやラジオ放送では電波からインターネット(通信)による情報提供の(融合)試みが始まっています。これまでの放送は電波でしかできませんでした。それがインターネット環境が進化し、音声や映像の大量なストリームデータの配信が可能になってきました。
放送で行ってきた広告でのビジネスモデルから、インターネットへ放送コンテンツを提供したときの新たなビジネスの仕組みを考え、インターネットのWEB広告とは異なる新たな収益構造を研究していくことが我々のテーマでありゴールの一つです。
 設立して約3年経過し、ようやくビジネスを検討するスタート地点に立っています。これから3年間では地上波のメディアとは異なるビジネスモデルの開発を進めて行きます。

----------ネットビジネスのビジネスモデルと言えば、GoogleやYahooなどが有名ですが、メディアプラットフォームラボが目指すビジネスモデルとはまた違ったものなのですか?

GoogleやYahooをはじめとしたネットビジネスが大成功しています。ネット上に蓄積された巨大な情報に「検索」エンジンを提供しそこに集まる人や企業から利益を生み出す構造です。これまでインターネットは、新聞、雑誌、本、そしてラジオの広告代を飲み込み、いよいよテレビにも近づいてきています。メディア(放送)をネット上で利用して、ビジネスとして成功している例はまだ無いと言っていいでしょう。
動画系のコンテンツの成功例であるニコ動やYouTubeも、自分でコンテンツを作っているわけではなく、集まった動画を検索して見せることでビジネスとしていますし、GoogleやYahooも、ニコ動やYouTubeにしても主な収入源は広告です。 しかし、既存のネット企業も、今のような検索をキーにしたネット(広告)ビジネスではこれ以上の拡大は難しいと理解しています。そのため次のステージでは、メディアとの融合が大きなポイントになります。
そのためには、まず、メディア・コンテンツを配信するためのプラットフォームを構築する必要があります。
FacebookがWhatsApp社(ワッツアップ)、マイクロソフトがスカイプを買収したのは、この2社がプラットフォームのベースになる通信企業だからと想定されます。
日本でもこれから3年ぐらいでメディア業界では何らかの再構成されて、新しいビジネスモデルが確立されているはずです。その時のビジネス・プラットフォーム提供が、我々の目指しているところです。
つまり、メディアプラットフォームラボは、「メディア(放送業界)」がどう変わっていくのかという視点でプラットフォームを創造していきます。

----------では、メディアプラットフォームラボの具体的なビジネスモデルについて聞かせてください。

『radiko.jp』で開発した新たなビジネスモデルの1例を紹介します。
これは「シンクロアド」です。「シンクロアド」は『radiko.jp』が持っている機能を使った新しいビジネスモデルで、『radiko.jp』と弊社にしかできない新しいサービスです。
簡単に機能を説明すると、『radiko.jp』から流れているCM音声に連動して、『radiko.jp』アプリの画面にCMと連動したバナーが動的に表示されます。バナーからはスポンサー企業のホームページや広告ページにリンクして誘導することが可能です。「音声」だけのラジオCMが、携帯やPCでバナー広告として表示され、ワンクリックでその先のネットへとリンクされていくわけです。

----------いよいよ、ビジネスとして刈り取りの時期にきたということでしょうか?

残念ながらまだまだ課題は多くあります。
「シンクロアド」にしても、スタートしたばかりの新しい広告方法です。ラジオが放送を開始して60年の中で、商品化してやっと2年です。電波と異なり商品の枠は簡単に作れますが商品価値のある枠にするにはまだまだ研究が必要です。
 そもそも、我々の「プラットフォーム作り」というビジネスは、インフラなので何かをしようとすると3年くらいの準備期間が必要です。『radiko.jp』を例にしても前身のIPサイマル協議会でスタートから5年は経過しています。
 3年目でようやくひとつのビジネスモデルのスタート地点に立ったと考えていて、今後3年間で収益の上がるビジネスモデルの確立を目指していきます。
今までの技術とインフラを使って展開できるビジネスが、ようやく2014年4月から新しいプラットフォームとしてスタートするわけです。
まだまだ試行錯誤の期間が続くと思っています。

----------メディアプラットフォームラボでは、『radiko.jp』関連以外にも様々なプロジェクトが進行していると聞いていますが、その一端を教えて下さい。

すでにサービスを開始しているものとしては「全曲報告サービス」です。
このサービスは弊社のビジネスでは重要な意味を持っています。
メディア(放送)とネット(通信)が融合したビジネスが成功しない一因として、コンテンツの権利の課題があります。届ける範囲が電波の届く範囲の放送とは違って、ネットではコンテンツの配信エリアのコントロールが重要な技術となります。全曲報告サービスは、メディアをインターネットで配信するときに、コンテンツの内容を自動的に判別し権利者に対して報告をする機能を提供しています。

 2013年度は、4Kコンテンツ制作にトライしました。
いまから3年後のネットコンテンツとしては、当然、4K配信は必須です。音声の高音質かや映像配信も大きくこれから大きく変化していると考えています。
 4Kのコンテンツはまだまだ少ないですが、3年後には4Kコンテンツを普通に個人が持つマルチ画面に表示されるでしょう。しかしビジネスプラットフォームの構築には3年は必要ですので準備はいまがスタート地点です。
さらに映像配信は、コンテンツ処理が大変で、いまそのトライアルを検討しています。
今回はコンテンツ制作を行いましたが、ライセンスをどのように処理したらいいのか、配信方法はどうしたらよいのか・・・を順番にトライしてゆく予定です。

 2013年度の開発テーマに「防災情報」がありました。 ラジオやテレビなどのマスメディアでは、公共放送として天気や防災、道路情報は必ずコンテンツに組み込まれています。 では、『radiko.jp』のようにネットへのサイマル配信ではどうなるのか? 我々はインターネットでもこうした情報提供は重要な技術開発と考えています。
聴取者へ現在いる地域の天気や防災、ニュースといった公共情報を集めて提供する必要があり、その「仕組み」をマスメディアとしてインターネットに提供することを考えています。2014年3月は兵庫県防災訓練にラジオ関西様と協力して、実証実験を行いました。

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